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2023.06.09

心筋症、大動脈血栓塞栓症

猫の病気にはさまざまな種類があります。

その中でも怖い病気とされているのが「心筋症」と心筋症が原因で起きる「大動脈血栓塞栓症」です。

どのような病気なのか、発症してしまった場合に飼い主ができることはあるのか、治療や対処法を知っておきましょう。

猫の心筋症

猫の心筋症とは、その名の通り心臓に障害を起こす病気です。

心筋症と一言でまとめてしまいがちですが、

・肥大型心筋症
・拡張型心筋症
・拘束型心筋症

といった種類があります。

主にこの3例ですが、不整脈源(原)性右室心筋症、未分類の心筋症を発症する場合もあります。

心筋症の症状

猫が心筋症にかかると、

・元気がなくなる
・呼吸数が増える
・口を開けて呼吸する
・呼吸が苦しそうになる

といった症状があらわれます。

初期の段階では、少し元気がないようにみえる、食欲が落ちた、といった年齢に伴う変化に近い症状しか出ないため、見過ごしてしまいがちです。

症状が出てしまっている場合、余命宣告を受けるケースが少なくありません。

できるだけ長生きしてもらうために、定期的に動物病院を受診する。
気になる部分があれば、早めに受診の上、元気そうに見えてもレントゲン検査を受けたり、血液検査や心臓病マーカーを調べてもらい、異常があれば適切な投薬や治療を受けましょう。

心筋症は予防できる?

猫が心筋症を発症するメカニズムは、ほとんどがまだ解明されていません。

かかりやすい猫種とそうではない猫種がいるため、遺伝子が要因という説がありますが、くわしい部分はこれからです。

拡張型心筋症については、タウリン欠乏が問題とされています。このことから、最近のキャットフードにはタウリンが含まれており、発症の報告はほとんどみられません。

一方で、タウリンを与えていても、拡張型心筋症を発症するケースがあるなど、早期の原因解明が求められています。

このように、心筋症はまだ予防ができない病気です。
だからこそ、飼い主さんがしっかり様子をチェックして、普段と違うところがあれば、早期に獣医師へ相談しましょう。

猫の大動脈血栓塞栓症

猫が心筋症になると、左房に血栓症のもととなる塊ができます。その塊が腹大動脈の分かれ道のところで詰まってしまうため、左心房内に血栓ができやすくなります。

さらに左心室に流れ、大動脈から先へ流れ出ててしまうと、多くの症例で腹大動脈の分岐部で詰まってしまうため、後ろ足に症状が出ます。(突如叫んだと思ったら後ろ足の麻痺が起き、一気に全身状態が悪化してしまい、あわてて連れてこられることが多い。)

突然強い痛みに襲われるだけでなく、突然死してしまう可能性もあるなど、非常に怖い病気です。

心筋症が分かっていれば、大動脈血栓塞栓症を引き起こさないように、血栓形成を抑える薬を処方できます。

一方で、突然大動脈血栓塞栓症になるケースもあり、この場合は点滴や注射、外科手術、内科治療が必要です。

外科手術をしても、血流が改善できず足が壊死してしまうケースがあること、再発率が高いことでも知られています。どのような治療をしていくのか、獣医師とよく相談の上、決定してください。

大動脈血栓塞栓症の症状

大動脈血栓塞栓症にかかると、このような症状がみられます。

・身体を動かさない
・足を引きずる
・足が動かなくなる
・足が冷えている
・肉球が白もしくは赤紫色になっている
・足を触ると硬い
・足が硬直している
・足を触ると痛がる
・痛みで鳴く
・よだれが出る

心筋症を発症しているケースが多いことから、呼吸が苦しそうな様子がみられる場合もあります。

心筋症と同じく、動脈血栓塞栓症も予防法がない病気です。

異変に気づいたら、猫の命を救うために、救急で動物病院を受診しましょう。

まとめ

猫の病気はたくさんありますが、心筋症や動脈血栓塞栓症は非常に怖い病気です。

予防が難しい病気でもあるため、突然死を防ぐためにも、毎日の健康チェックや定期健診を欠かさないようにしましょう。

心筋症や大動脈血栓塞栓症の恐れがある場合、できるだけ早期に治療を開始する必要があります。

しばらく様子をみる、といった対応は控えて、すぐにかかりつけ医を受診してください。
かかりつけ医が診療時間外の場合は、夜間病院を利用しましょう。

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NEKOTO WATASHI

NEKOTO WATASHI
私たちは猫の様々な病気に向き合って来た獣医師です。これまでに仕入れた知識、これから学んでいくことを「猫とわたし」で発信し、愛猫家の皆様と愛猫ちゃんがいつまでも健康的で幸せでいられる社会をつくることが私たちのミッションとしています。

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