猫とわたし

マイページ

MENUCLOSE

  • 猫とのお別れ

2023.06.12

Grief(死別の悲しみ)の心理過程

大切に飼っていた猫が亡くなってしまったら、Grief(グリーフ)と呼ばれる死別の悲しみに襲われます。

突然の別れになるケースも多く、残された家族はGriefと向き合い、立ち直らなければいけません。

ペットに死が訪れた時、どのように気持ちが変化していくのか、心理過程を知っておきましょう。

Griefで起きる心理過程

大切な人やペットを失ったとき、どのような心理プロセスを辿るのでしょうか?

死生学を日本に広めた「アルフォンス・デーケン氏」が提唱している悲観12のプロセスから、立ち直りまでの過程をみてみましょう。

1.精神的打撃と麻痺状態

ペットの死は、覚悟していたとしても大きなショックを与えます。
精神的な打撃を受けるとともに、自分の心身を守るため、心や身体が麻痺状態になります。

2.否認

ペットの死という現実を受け止められず、何かの間違いではないか、息を吹き返すのではないか、悪い夢を見ているのではないか、という否認の心理状態になります。

3.パニック

死を否定しても変わらない現状を前に、パニック状態になります。
ペットをもう抱っこできない、一緒に過ごせない、という現実が押し寄せ、日ごろは穏やかな人であっても別人のように取り乱したり、乱暴になったりするケースがあるでしょう。

4.怒りと不当感

パニック状態が落ち着くと、怒りや不当感が表れます。
もっとできる治療はなかったのか、どうして世の中は病気のことをもっと広めないのか、といった他人への怒りや不当惑だけでなく、自分自身へ矛先が向く場合もあります。

5.敵意と恨み

怒りを通り越すと、敵意や恨みが芽生えます。
過失がないと分かっていても、猫と出会ったペットショップやブリーダー、治療にあたった獣医師などを恨むことで、ショックを和らげようとします。

6.罪意識

なぜもっと早く異変や病気に気づけなかったのか。小さな頃からもっと気をつけていれば良かった、など、自分への罪悪感でいっぱいになります。心の病気につながる可能性もあるため、メンタルケアが必要です。

現在進行形でペットを飼っている場合は、いざというときに後悔しないように、できることはすべてしておきましょう。

7.空想形成・幻想

空想形成・幻想は、現実逃避のような状態です。
猫が死んでしまった事実を受け入れられず、猫のごはんを用意したり、猫のお水を替えたり、といった行動がみられます。

家族がこのような状態になっている場合、無理に現実を突きつけるのは避け、時間が解決してくれるのを待ちましょう。

8.孤独感と抑うつ

猫の葬儀が終わる、月命日が訪れるなど、時間とともに気持ちが落ち着きます。
その一方で、猫のいない空間に寂しさや孤独を感じ、泣いたり落ち込んだりといった、元気のない状態になる場合があります。一人暮らしの場合は、特に抑うつ感が出やすいため注意しましょう。

9.精神的混乱とアパシー

孤独や抑うつ状態が続くと、アパシーと呼ばれる無気力状態になります。
猫のいない生活に幸せを感じられず、仕事や家庭、日常生活に影響を及ぼす場合があります。

10.あきらめ→受容

死という現実が変わらないことをあきらめ、受け止められるように気持ちが変化します。
そろそろ気持ちを切り替えなければと、自分自身で思えるようになる時期です。

11.新しい希望(ユーモアと笑いの再発見)

猫の死はつらいことですが、未来へ歩んでいくために、新しい希望を見いだします。
猫のことを思い出して悲しむだけでなく、幸せだった日を思い出して笑ったり、ユーモアを交えながら話せるようになったり、といった変化が訪れます。

12.立ち直りの段階(新しいアイデンティティの創造)

さまざまな過程を乗り越えて、立ち直りの時期がやってきます。
どれだけ悲しみにくれていても、いつかは新しいスタートが待っていると信じて、無理のない範囲で死を受け入れましょう。

まとめ

悲観12のプロセスは、かならずすべてが起きるわけではありません。
またいくつかのプロセスを行ったり来たりしながら、立ち直るケースもあります。

どの変化も、自分に起きる可能性があると心得ておきましょう。

ペットロスが長引かない方法については、別の記事で解説しています。
合わせてチェックして、愛猫との死をどう受け止めるか、考えてみてください。

猫とのお別れ:ペットロスが長引かないようにへリンク

  • 猫とのお別れ
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hateb

NEKOTO WATASHI

NEKOTO WATASHI
私たちは猫の様々な病気に向き合って来た獣医師です。これまでに仕入れた知識、これから学んでいくことを「猫とわたし」で発信し、愛猫家の皆様と愛猫ちゃんがいつまでも健康的で幸せでいられる社会をつくることが私たちのミッションとしています。

この著者の記事一覧へ

PAGE TOP